講話Ⅲ「グローバル化が壊す日本社会――日本人のやる気はなぜ失われたのか」|エンジェル寺子屋一番館

2018年9月27日(木) 14:30~
【第41回】講師:施 光恒 先生

講話Ⅲ「グローバル化が壊す日本社会――日本人のやる気はなぜ失われたのか」

連続講話 全体テーマ
《日本人の心のかたち――普段気づかない文化の奥行きを探る》

日時:2018年9月27日(木) 14:30~

■講師:施 光恒 先生

■会費:5000円 ※懇親会、別途5000円

■場所:東京都港区海岸1-2-20 汐留ビルディング15F
プルデンシャル生命保険㈱セミナールーム
(最寄り駅:JR浜松町駅 北口より徒歩3分)

■スケジュール:※変更の可能性あり
14:00 受付開始
14:30~14:40 開会挨拶、講師紹介
14:40~16:10 施先生講話
16:10~16:20 休憩
16:20~17:30 対談ならびに質疑応答
17:30~17:45 閉会挨拶、写真撮影など

終了次第、懇親会

※基本的にご参加は古賀のお知り合いの経営者の方に
限らせていただきます。
※セミナー終了後に懇親会の開催を予定しております。
参加お申込みの際には、懇親会へ参加されるかどうか
併せてご連絡いただけますようお願い致します。

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《以下、古賀Facebookより》

エンジェル寺子屋一番館(AT-1)、第41回の募集を開始します!
開催日は9月27日(木)で、次回もまた九州大学准教授の施光恒先生にお話しいただきます(^^)

7月8月と続いてきた施先生の連続講話も、いよいよ9月で最終回!
これまでの2回も、全体テーマである『日本人の心のかたち―普段気づかない文化の奥行きを探る』の通りの内容で、施さんの優しい語り口と相まって私もどんどん日本を好きになり、今まで以上に日本人であることに誇りを持てるようになりました(*^^*)
そして最終回のテーマは『グローバル化が壊す日本社会ー日本人のやる気はなぜ失われたのか』大学における施さんの専門分野です。

ブレクジットやトランプ大統領の誕生に象徴されるように、世界の国々には今、近年正しいとされてきた”グローバリズム”に偏りすぎた揺り戻し(反グローバリズムの波)が来ています。
日本にはまだその波は来ていないように見えますが、これは日本人が気づかないように巧妙に仕組まれていると捉えることもできます。
そもそも日本には「株主第一主義」や「四半期決算」といった欧米発の考え方は根本的に馴染みません。
これは「なんでもかんでも規制緩和」や「なんでもかんでも民営化」も全く同じこと。

次回の講座では、施さんにこのあたりのカラクリや現状を深く掘り下げて解説いただき、この30年のいわゆる”グローバル化”によって日本社会がどれほど壊されてきたのか?またそれによっていかに日本人のやる気が失われてしまったのか?といったお話をいただく予定です。
それを受けた後半の対談では「日本人の特性を踏まえた上での日本人にフィットしたビジネスや政策」等について皆さんで熱くディスカッションできればと考えております!

■プロフィール
1971年(昭和46年)福岡市生まれ
慶應義塾大学法学部卒
英国シェフィールド大学大学院政治学研究科修士課程修了 優等哲学修士号を取得
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。
現在;九州大学大学院比較社会文化研究院准教授
専攻は政治理論、政治哲学。最近は、主に、ナショナリズム論、
人権と文化との関係性、グローバル化批判などに関心を持つ。
産経新聞(九州・山口版)、雑誌『表現者』などで連載コラムを担当。
また、文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」などラジオ番組の
コメンテーターなども務める。

〈主な著書〉
『リベラリズムの再生――可謬主義による政治理論』(慶応義塾大学出版会 2003年)
『ナショナリズムの政治学――規範理論への誘い』
(黒宮一太氏との共編著 /ナカニシヤ出版 2009年)
『TPP 黒い条約』(共著、中野剛志編/集英社新書 2013年)
『反動世代――日本の政治を取り戻す』(共著、森健編/講談社 2013年)
『まともな日本再生会議』(中野剛志氏、柴山桂太氏との共著、アスペクト、2013年)
『英語化は愚民化――日本の国力が地に落ちる』(集英社新書 2015年)など。

セミナー議事録

《管理人の独り言》
昨日もお忙しい中、ご参加ありがとうございました。
スケジュールの都合で少人数での開催となりましたが、少人数ならではの熱いディスカッションもあり、
セミナーのみならず懇親会も大変盛り上がりました。
とても楽しい時間をありがとうございました。

連続講話の最終講は「グローバル化が壊す日本社会―日本人のやる気はなぜ失われたのか」
というテーマでお話しいただきました。
施先生の「園芸」のお話の時とはまるで変わって、真剣な表情も印象的でした。
「日本を良くしていきたい」という熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。

「グローバル化」という言葉は聞こえが良すぎる、実態を見ると「多国籍企業中心主義」である
というお話は、(ろくに勉強せず、マスメディアを信じていた私は・・・)
グローバル化に何となく良いイメージを持っていたので非常に興味深い内容でした。
グローバル化が社会の格差を拡大しているメカニズムを詳しく学ぶことで、日本人のやる気、
日本社会のパワーが失われていく要因を知ることが出来ました。
多国籍企業やグローバルな投資家を意識するよりも、当たり前に国民経済を重視しなければならない。
本当にその通りだと思いました。

『長い年月をかけて培われた日本人の文化や心のかたちは簡単に変わらないので
制度を心に合わせて作っていくほうが健全で社会全体が元気になる。』
第一講、第二講と日本の文化や日本人の心のかたちを勉強させていただいたので
より納得してお話を聞かせていただきました。

AT-1が始まって初めての「おかわり講師&連続開催」でした。
施先生には毎回、事前準備(資料作成)や当日の移動(福岡⇔東京)までご足労をおかけしましたが、
嫌な顔一つせずに快く引き受けていただきました。
感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

次回は「危機管理コンサルタント」という大変興味深い肩書きをお持ちであられる
丸谷元人先生にお話いただきます!!たくさんの方のご参加をお待ちしております^^

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《講演メモ》

■改革がもたらす閉塞感 ~日本人ビジネスマンの「やる気」の低下~

・90年代前半までは日本人ビジネスマンの仕事への熱意、会社への忠誠心は高く、
時に揶揄されるほど世界的にもよく知られていた。(Ex.「会社人間」「仕事中毒」「モーレツ社員」など)
しかし、90年代後半から自殺者数の増加や、「ひきこもり」というワードが新聞記事にも多く取り上げられるようになった。

Q.米国ジャーナリストはひきこもりが生じた理由に「個人主義(個性)を認めない集団主義的保守主義という
“日本型システム”に問題があると日本を批判したが、果たしてそうなのか?
日本の若者意識は「個人主義化」したのだろうか??
⇒日本生産性本部が毎年行う新入社員向けの調査では、若者の意識が個人主義化したとは特に思えない結果であった。
 *給与システム→成果主義が年々減少し、年功主義が増加。
 *起業・独立志向→起業志向が年々減少し、社内志向が増加。
  ⇒過去20~25年間で変わったものは日本人の「意識」ではなく、「制度や企業文化」の方ではないだろうか。

・平成の構造改革により、日本企業を取り巻く、様々な制度(商法、会社法、会計基準、雇用制度、人事評価制度など)
 が変わっていった。
・経済政策の目的が変化。
 *昭和:完全雇用で失業率を下げる、インフレにならないようにする、国民の福利を充実させることが目的。
 *平成:グローバル計画によって株主に還元することが目的。
⇒日本型資本主義、日本型経営からアングロサクソン型、グローバル型へと変わっていった。

■「グローバル化」とは「多国籍企業中心主義」だ! ~格差拡大のメカニズムとは~

・英米では1980年代から、日本では1990年代後半からグローバル化が本格化した。
 1996年に「グローバル・スタンダード」という言葉が初めて新聞上に登場。
 「日本型金融ビックバン」によってお金の移動が自由化した。日本以外でも90年代に多くの国で金融制度改革が行われ、
それによって資本(カネ)の国を跨いだ移動が自由になったことがその後に大きく影響した。
・グローバルな企業(多国籍企業)や投資家は、なるべく稼ぎやすい国でビジネスをすることを考えた。
 企業は稼ぎやすいところ(法人税の安いところ、人件費の安いところなど)に会社や工場を移動。
 投資家は稼ぎやすいところにお金を動かすようになった。
・各国の政府は“外国からの企業や投資(お金)をなるべく自国に引き付けたい”
 “自国の企業が国外に出て行ってしまうことを防止したい”という思いから、
 グローバルな企業や投資家の声を過剰に反映し、一般庶民の意見を聞かなくなった。
 その結果、格差が拡大した。富裕層はより裕福に、庶民の暮らしはより貧しくなってしまった。
 格差の拡大は、誰が悪いわけでもなく、「仕組みの問題」によって起こったのである。
・グローバル化を進めていくと各国の経済政策は一律化される。
 *税制改革:法人税を引き下げて、その分を消費税で補う。
 *労働者権利の削減:賃金を抑え、正社員ではなく非正規社員を雇いやすくするなど、安いコストで人を雇えるようにする。
 *規制緩和、民営化:医療・農業(食糧)・エネルギー・教育など不況でも稼ぎやすい分野の規制を緩和して民営化する。
⇒多国籍企業に優位なようにルールを変えていき、庶民の声はさらに通りにくくなるため、やがて民主主義が消滅してしまう。
・最近の日本の経済成長戦略
 *政権は株価の動向を強く意識→国民ではなくグローバルな投資家や企業の利益が第一に。
 *法人税の引き下げ、消費税の増税
 *労働法制の緩和→働き方改革、非正規雇用、派遣労働の拡大など
 *年金を株で運用
 *コーポレートガバナンス改革→一番の狙いは株主への配当を増やすこと。
 *岩盤規制の打破(医療・教育・農業分野でビジネスをしやすくする)
 →教育改革(英語化の推進、民間団体が運営する公立学校の承認など)、医療制度改革(混合診療の拡大)、
 民泊の解禁などが挙げられる。
⇒グローバル化以降、「経済成長」と「国民一般の生活の安定化、向上」が一致しなくなってきた。
・少子化は自然現象ではなく、政策の失敗である。
 労働者権利の削減によって、非正規雇用の若者が増えたことで結婚しにくくなった。子どもの数は年収に比例する。

■脱グローバル化に向かう世界

・「グローバル化」の反対概念は“鎖国”でも“孤立主義”でも“排外主義”でもない。「国民主権の回復」と理解すべきである。
 ヒト、モノ、カネ、サービスの動きを自由化して、国が介入できないようにすることが「グローバル化」だとすれば、
 国が介入して、ヒト、モノ、カネ、サービスの動きをある程度、コントロールすることが「脱グローバル化」といえる。
 英国がEU離脱したのも脱グローバル化の流れである。
 国民が自分たちの国づくりを民主的に決めることができ、国民の意見が反映され、蓄積されていくことが必要である。
 資本の国際的移動に一定の歯止めをかけ、国民の自己決定権(国民主権)の回復を!!

■日本型資本主義2.0を目指そう!! ~日本と米国文化の相違~

・企業文化
 米国やヨーロッパの諸国の企業に比べて、日本企業は性悪説よりも性善説に立つ傾向がある。
・人間観(自我観)
 個人主義文化の米国人に対して、日本人は他者との敵対的競争よりも協調を好む。
・動機付け
 「自分で選択した」ことで動機づけが高まる米国に対して、日本は「他者に頼りにされ、期待に応える」ことで
 やる気がでる(動機づけが高まる)。
⇒このように多様な他者との関係を重んじるのが日本文化の基盤となっている。
日本の文化的傾向性を見つめたうえで、多くの人々が仕事への高い動機づけや充実感、幸福感を得られる経済社会
(日本型資本主義2.0)を作り上げていくことが、今後、目指すべき改革である!!

《セミナー・懇親会風景》





《参加者みなさまのご感想》

・日本人の心のかたちは変わらないのに、制度だけ欧米型に作られた弊害が起きていることに早く気づかなければと思いました。
・グローバル化を推し進めるのではなく、原点に返り、日本に合った資本主義に変わることも1つの方法だと思いました。
・私は経営者ではなく普通の会社員ですが、普通の会社員が先生のお話を聞いて、もっと前向きに仕事が出来たら、
 会社も地域も日本ももっと変わると思いました。
・グローバル化=多国籍企業中心主義という考え方で今の世の中を見ると、現状を非常に理解でき勉強になった。

※たくさんの中のほんの一部になりますが、いただいた感想を掲載させていただきました。
 本当にありがとうございました。

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《以下、古賀Facebookより》

【第41回AT-1ご報告】
昨日のAT-1は、九州大学の施先生による『日本人の心のかたち』シリーズの最終章。
「グローバル化が壊す日本社会-日本人のやる気はなぜ失われたのか」と題して、
施先生の専門分野ど真ん中のお話をじっくりと聴かせていただきました(^^)

グローバル化と言うととても聞こえが良くて先進的な印象を受けますが、
実際のところは施さんのおっしゃる通り"多国籍企業中心主義"。
1990年代後半から日本にも本格的に"グローバル化"の波が押し寄せてきたのですが、
ほぼ同じ時期から日本人ビジネスマンのやる気は著しく低下してきている。
これは、過去20年の間に変わってきたのが日本人の意識(心や文化)ではなく、
制度や企業文化の方だったからだと考えられる。
当然それは、日本の大多数を占める中小企業の意向ではなく、
主に欧米に籍を置く多国籍企業の意向に沿うという形で進められてきた。
ちなみに、新聞紙上に初めて「グローバルスタンダード」という言葉が登場したのは1996年のことらしいです。
意外に最近ですよね(笑)

このシリーズの全体テーマである「日本人の心のかたち」はそうそう簡単に変わるモノではないので、
今までのように「欧米型の制度」ありきで構造改革や規制緩和を行えば、当然「日本人の心」は疲弊して元気がなくなる。
そうではなく、「日本人の心(文化)」のあり方を前提にして「日本流の制度」を整えて行けば、
日本の企業が元気を取り戻し、その結果日本人が元気になる!
施さんはこれを「日本型資本主義2.0」と呼んでいますが、私もまさにこれこそが今の日本に必要なことだと強く共感しました。
また、"グローバル化"の反対は"国民主権の回復"である!という施さんの主張も、まさに我が意を得たりで深く納得でした。

後半の対談では「会社は誰のモノか?」という質問を皆様に投げかけたのですが、
そこで参加者のK社長からとても深い学びをいただきました。
① 会社は誰のモノか?
② 会社は誰の為のモノか?
③ 会社が提供するサービスは誰のモノか?
ほんの少しの違いですが、それぞれの質問に対する解答はだいぶ異なってくる気がしますよね。
昨日の議論を踏まえた私なりの答えは
① ⇒株主
② ⇒社長や社員
③ ⇒顧客
といった感じです。もちろんただ一つの正解というものは無いと思いますが(*^^*)

また、民営化の是非についても議論しました。
以前の私も含め、かなり多くの方が"民営化"という言葉を聞くと条件反射的に「良いこと」と感じるかと思います。
しかしこれもある意味では"グローバル化"と同じく功罪併せ持っており、長期的に見てその罪の方が大きくなるようであれば、
その民営化は失敗であったと言わざるを得ません。

国鉄を民営化したことで地方の路線がどんどん廃線になる。
郵政を民営化したことで過疎地域での郵便サービスの継続が困難になる。
こうして地方に人が住まなくなる悪循環が、我が国の安全保障に大きな影を落とす。
都市部で大きな災害が起きたらどうするのか?
過疎地に勝手に異国の人々が住み着いたらどうするのか?
なんでもかんでも「ビジネスの観点から見て効率化」するのではなく、国民性や文化といったことを
真剣に考える時期に日本も来ているのではないかとすごく感じますね。

ちょっと感想が長くなってしまいましたが、昨日お足下の悪い中にご参加いただいた皆様、
そして3カ月連続でわざわざ九州から来てくださった施先生、本当に本当にありがとうございました。
懇親会やアンケートで「施先生の連続講義をまた企画して!」という声も多かったので、
こちらもまた検討させていただきますね(^^)

来月10/19(金)は、とっても異色な「危機管理コンサルタント」の肩書きを持つ丸谷先生の登場です!
ここでしか聞けない、世界中で起きているテロの裏側なんかの話も聞けると思いますので、皆様ぜひご参加ください。
私も今からとっても楽しみにしてます(^^)